第72回北海道大家塾はイベント開催制限を遵守し、札幌駅最寄りの北農健保会館に会場を設け、コロナ感染拡大防止対策を行なった会場セミナーに46名、You Tube ライブ(限定公開)同時配信によるWEBセミナーには76名の計122名参加の中で開催されました。
【お役立ちセミナー】
講師紹介
大西 正啓(Masahiro Oonishi)
大西 正啓司法書士事務所 代表
〇大西 正啓司法書士事務所 HP
https://www.ohnishioffice.net/
『司法書士のお仕事~上手な司法書士の活用法♪』
二段という段位を持つ趣味の将棋も、一日中でも続けられるほど好きとのことで、
「将棋もまた相手の気持ちや、『相手が何を考えているのかな?』と考えて自分が答えていく、という点が今の仕事にも通じる部分があるのかな、と考えています」
という思いから、今は札幌司法書士 将棋同好会にも在籍し、コロナ前までは月に1回の研究会と毎年、大会に出場、現在は日本将棋連盟のソフトで日々研鑽を積まれている大西先生。
「資格を取りたいな、と思って勉強に専念するため東京へ行き、2年後に法律の仕事である『裁判所 事務菅任用試験』を受験しましたが合格できず、その時は失意のどん底に陥りました」
その後、司法書士事務所に勤務しながら資格取得のための勉強を続け、平成7年、司法書士試験に合格された大西さん。その3年後にマンションの一室にて独立開業され、平成15年に今のオフィスがあるビルへ移転して事務所を開かれました。
その大西さんが司法書士の仕事を志されたのもまた、「法律の専門家だが、弁護士より身近な相談役になろう!」と考えたから、とのことでした。
司法書士は、法務省管轄の役所(主に法務局)に提出する書類の作成およびその提出など、全般を行う職種です。
また単に手続きを進めるだけでなく、依頼者から「法律に関する相談」を受けることも多く、「不動産登記」や「商業登記(法人設立など)」、供託、裁判事務など関する法律相談をすることが出来る国家資格でもあります。
今回の北海道大家塾セミナーでは、多岐にわたる司法書士の業務の中から「不動産登記」や「法人の設立」、「家賃滞納者への対処法」といった賃貸経営に直結する『いざという時に役に立つ法律の知識』というテーマで大西さんにお話いただきました。
【不動産登記について】
登記の手続きが必要なのは、主に
・売買、相続など主に不動産の所有者が変わった時(所有権移転 登記)
・建物を新築した時(所有権保存 登記)
・住所を変更した時(登記名義人表示変更登記)
・他は、抵当権設定 登記、抹消登記
などの場合となります。
<実際にあった不動産取引の怖い話>
2017年に起きた東京都品川区 五反田駅から徒歩3分の旅館の底地取引をめぐる巨大詐欺事件。
約70億円の売買代金の大半である55億円を日本のハウスメーカー御三家の一つが詐取されたという事件がありました。
◆POINT◆
この事件では、地面師と呼ばれる詐欺グループが『直接の取引では、うまくいかない』と考え、中間の買主として I社という企業を立て、直接の取引相手にしたという経緯があります。
『自分が最終的な買主ではなく、またすぐ売却したい』と考える時、多くの方はよく「中間省略」というお話されますが、実は法務局では、この「中間省略登記」は認めていません。
「今は良いんだよね?」と勘違いされる方も多いですが、本当は第三者のためにする契約であり、「最終的な買主でなくでも契約できる」、「できない」という見解は司法書士の中でも分かれています。
不動産売買の取引は、不動産オーナーご自身で行われるよりも司法書士に頼まれた方が安全です。なぜなら、責任の所在も司法書士となるからです。
特に、本人申請は気を付けましょう。
よく買主さんが「登記も自分でやるから」とおっしゃるケースもありますが、この場合はまず『登記に必要な書類が全て揃っているのか?』『売買手続きが取れるのか?』をしっかりと確認しなくてはいけません。
もし、個人間で売買契約の話がまとまっていれば、より確実で安全な取引のために、司法書士の方でも契約書などの必要資料を作成してもらえます。
手数料も無く、あまり経費が掛からない形で準備できますので、ぜひ覚えておいてください。
【商業登記について】
・会社に関わる「重要な事項の記録」を行なう時
(具体的には会社設立、商号・目的・役員変更、本店移転の時 など)
◆POINT◆
1.どんな時に法人化が必要か?
ある程度の年収になった時が、法人化を検討されるタイミングだと思います。一つの基準ですが、純利益で約800万円ほどになった時には法人化するメリットが生まれます。
課税率の観点から考えると、ある程度の高い年収(収益)に対しては法人化によって課税される「法人税」の方が「個人事業税」よりも税率が低くなるからです。
2.法人設立を検討する際のポイント
法人設立を行なう場合、一般的には株式会社と合同会社のどちらかとなります。それぞれ法人として担うべき責任範囲も異なりますが、『株式会社でスタート』と『合同会社でスタート後、株式会社へ変更』 では、実は後者の方が費用が安くなります。
その理由は、法人設立費用」に違いがあるからです。
今、大西正啓 司法書士事務所では登記手続全般(不動産登記、法人設立登記等法人登記)が業務の中心とのことですが、大西さんはご自身の中にある「手続きを通じてお客様の想いに寄り添う司法書士でありたい」という思いから日々、さまざまなご相談を受けられているそうです。
「帯広の大家なんですが、帯広にも来ていただけますか?」
会場セミナーに参加した大家塾会員のこんな質問にも、
「帯広裁判所の管轄になりますし、もし必要であればつながりのある帯広の司法書士をご紹介しますよ」と笑顔で答えられる大西さん。
『ご依頼の内容によっては司法書士の業務の範疇を超えてしまう場合もありますが、そんな場合でも他業種の専門家の紹介などを通じて、解決に導けるよう努力してまいります』
北海道大家塾のサポートパートナー企業として、ご自身の司法書士事務所の紹介文に書かれている通りに答える姿からも、
法律の分野でありながら、「相談しやすい身近な存在」であるということ、
司法書士という専門家が「実は大家さんの頼れる味方です!」ということ
を、改めて北海道大家塾の会員に知っていただく機会となりました。