相続対策と言うと、資産圧縮が一番注目されます。
そこで、更地(空地)のままにしておくよりも、賃貸マンション・アパートを建築することによって、評価の減額が受けられるのを利用して、どんどんと賃貸住宅を建てていました。
しかし、相続対策というのは資産圧縮だけではなく、資産の分割対策と納税資金対策があります。
その中でも一番大切なのは分割対策と言われています。
私が建築の営業マン時代の話ですが、当時老朽化して空室の多いアパートをピックアップしていました。
そして調査すると、その多くの物件は共有名義の物件でありました。
共有の大家さんの一人に連絡すると、
「私はわかんないから、あっちに連絡して!」とか、
「私は建て替えしたいけど、弟が賛成しないんだ~」
なんて方が非常に多かったのを覚えております。
そうなると、「入居もしないし、テコ入れもできず、更にリフォームも出来ない」なんて事になります。
中には共有持分の部分だけに ◯イフルやプロ◯スの抵当権が設定されていて、売却を考えたある兄弟が謄本をとってビックリ!!
売るにも売れずなん事もありました。
(実話です)
ですから、「うちはまだアパート一棟しか無いから大丈夫」とか思わないでくださいね。
団信の付いているアパートを所有していて、売値で 1 億くらいの物件を持っている方は、相続税の対象になる可能性も十分考えられます。
もし相続税の対象にならなくとも、分割対策をしっかりと考えていなければ、引継ぐ被相続人(子供さん達)も、不幸になってしまうかも知れません。
また相続の「争続」で揉めるのは、実は相続税のかからない方の方が多いとも聞きます。
最後は、「何を」、「どの様に」後継者に残すのかと言うところになって来ます。
結局は以前にお話ししたかも知れませんが
「釣った魚を与えるか、魚の釣り方を教えるのか」
と言うところにまでお話はいってしまいます。
2011年1月に、大阪で「元資産家姉妹餓死、やせ細り室内に数百円だけ」という痛ましいニュースがありました。
亡くなった1 人は賃貸マンションのオーナーだったのをご存知ありますでしょうか?
単純に、「借金をしてマンションを建てれば相続対策になる」という無邪気なものではありません。
そこには「効率性」や「安全性」や「市場性」や「運営ノウハウ」など、様々な要素が必要になってきます。
タイミングだって重要です。
ちゃんとした手を打っておけば、また違った人生になったはずなのに・・・。
そんな悲しい事件です。
相続対策でアパート経営して、結局財産が無くなってしまったという、笑えない話が多くありますので・・・
特に土地をお持ちの方は、自分の土地で何とかしようとする方が多いです。
J-RECの相続税コンサルティングセミナーで浦田先生に言われたのが、
「ただ建てるだけでなく、その土地を売却する場合や、その土地を担保提供し、他の場所に資産を移転するとか、大きなMSの建築計画のみではなく、分割に優れた戸建て賃貸の建築提案など様々な提案をしなさい」
と指導されました。
ただ建てれば埋まる時代はとっくに終わっています。
よくよく検討の上、進めていくべきだと強く思います。
なにも対策を打たずにいたら、相続税の支払いのために全財産を失ってしまったという地主さんとかいますから。
でも、その対策が間違っていたらやっぱり意味がありません。