会員Yさんから、こんな事を教えて頂きました。
「築30年RCマンションの固定資産税が一向に減らず、新築時より半分にもなっていません。もしかして税金の計算や見直しが間違っているのでは??と思い固定資産税課へ行ってきました。 」
Yさんは、勉強熱心で、とことん追求する方です。
固定資産税の評価方法について様々な資料を集めて私に渡してくれました。
「総務省はダメだわー!!」とかなり怒ってました(笑)
そこで、頂いた資料や、調べた結果を、ご報告いたしますね。
Yさんがそこで知ったのは「RC物件は60年間価値があるとみなされて税金計算され、60年経過後も建物の評価が2割残される。
その価格に対して固定資産税が建物が残っている限り税金がかかる」という事です。
木造は23年間で計算され、同じく2割残ります。
「現実問題60年間も収益物件として、もつと思います??」とYさんは訴えています。
本当にそのとおりですね。
更に「北海道は雪害があってもRCについては全く減額されません。」 (木造は減額されているそうです)
さらに再建築評点というものがあります。
これは総務省が定める、その建物を再建築するために掛かる費用を、その都度出しているものです。
その再建築費評点数に対してRC造の建物は、経年減点補正率0.8(1 年目)をかけた価格に、税率をかけると新築 1 年目の固定資産税評価額が出ます。
この再建築評点というのが、3年ごとの評価替えで、物価の変動を加味して変動するのです。
これがクセモノです。。。
Yさんの再建築費評点は、昭和57年に90,000点でした。
それが平成6年では、118,500点。
平成21年では98200円となっています。
またYさんの30年たったRC賃貸マンションの、現在の経年減点補正率は0.4632だそうです。
ちなみに40年経過で0.3754 です。
60年後でやっと0.2となります。(ながっ!!)
建築した当初評価額が当然一番高いのですが、昭和57年から昭和63年の6年間で11%のダウンでした。
その後、昭和63年から平成6年の6年間では、3%のみの減評価にしかなっていません。
その間に一回評価替えがあったのですが、なんと評価額が変わらないという状況もあったようです。
このような固定資産税の評価をめぐっては、Yさんだけでなく様々な方達が、かなりクレームを付けており、問題となっているようでした。
そこでニッセイ基礎研究所という所で出している
「ニッセイ基礎研究報 Vol.49 家屋に関わる固定資産税評価について(2)」というレポートから様々なことがわかりますので一部ご紹介します。
レポートは以下のサイトからダウンロードもできます。
http://www.nli-research.co.jp/files/topics/37654_ext_18_0.pdf
まず、家屋の固定資産税評価について、納税者である不動産業界の問題意識を整理した結果、大きく分けて2点のポイントがあげられています。
①評価額は簿価に比べて高く、評価替えを経てもほとんど下がっていない
②立地や用途、構造などが類似しているのに、家屋や市町村間で不均衡があるのではないか
実態調査からみた問題点としては、新築時における評価額は結果として簿価とそれほど乖離していない。
しかし、再建築評点時における判断根拠や計算過程の明確化等、納税者に対する情報開示を一層進めていくことが重要であると結論づけられています。
一方、在来家屋(新築ではない建物)の場合の問題点として
① 築時期が古いほど、その後の建築費の高騰期に評価された家屋の評価額は下がらず継続している。
② バブル期に新築し評価された物件については、その後の市場価格の著しい下落にもかかわらず、評価時の再建築費評点補正率の低下が少ないため、納税者の負担感が増した可能性がある。
したがって、家屋評価の仕組みにおいて、再建築費評点補正率や経年減点補正率を見直す余地があるのではないか。
という二つの点が指摘されています。
まさにYさんのケースですね。
次に続きます。