アパートやマンションに設置されている貯水槽は、衛生を保つために清掃や点検を行います。しかし、具体的にどのような管理を行っているのか詳しく知らないオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。管理を怠っていると行政指導の対象にもなります。そこで今回は、貯水槽の仕組みや貯水槽清掃に関する法的義務について解説します。
□貯水槽とは?
貯水槽とは、その名の通り水を貯めておく設備や施設のことを指します。地上や地下にあるものは「受水槽」、建物屋上に設置されるものは「高置水槽」、一時に大量のお湯を使用する施設などの「貯湯槽」があります。これらを総称して「貯水槽」と言います。
一戸建ての場合は、給水管から直接蛇口まで水道水を届けます。しかし、アパートやマンションでは、一度に大量の水を使用するケースがあるため、大量の水をストックしておく設備が必要になります。
賃貸住宅で使用する貯水槽は、飲料用水を含めた生活用水をストックしています。そのため、常に安全で衛生面も問題のないきれいな水を入居者に届ける必要があります。
しかし、管理を怠り、不衛生な貯水槽のまま放置していると、汚れや水垢で飲み水として使用できない可能性もあります。場合によっては、飲んで体調が悪くなったり、洗濯物に匂いが移ってしまうケースもあります。したがって、賃貸物件のオーナー様や管理会社は、適切な維持管理と点検を行わなければなりません。
□貯水槽清掃に関する法的義務とは?
オーナー様や管理会社は、貯水槽清掃について法的義務を負っています。
貯水槽の規模は「簡易専用水道」と「小規模貯水水道」に分けられています。
「簡易専用水道」とは、市町村や水道企業団などから供給される水で、受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものを言います。「小規模貯水水道」とは、市町村や水道企業団などから供給される水で、受水槽の有効容量が10立方メートル以下のものを言います。このように貯水槽の規模によって法的義務が異なります。
「簡易専用水道」は、水道法の規定により、年に1回以上の清掃と厚生労働大臣の登録を受けた検査機関の検査(定期検査)を受けることが義務づけられています。また、水道水の色、濁り、臭い、味などに異常を認めたときは、必要な項目に関する水質検査を行います。さらに健康を害する恐れがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置が義務付けられています。
「小規模貯水水道」でも年に1回以上の清掃と厚生労働大臣の登録を受けた検査機関の検査(定期検査)を受けることが義務づけられています。ただし、地方自治体の条例で検査及び点検の項目が定められています。
□まとめ
今回は、貯水槽の仕組みや貯水槽清掃に関する法的義務について解説しました。オーナー様や管理会社は、貯水槽清掃について法的義務を負っています。「簡易専用水道」と「小規模貯水水道」によって法的義務が異なるため、法律や地方自治体の条例を確認しておきましょう。