当時様々なニュースで取り上げていたので、ご存知ある方は多いかと思いますが、
「ほけんの窓口」前社長の今野氏が、2013年7月17日に消費税法違反で在宅起訴されました。
また、還付を指南したとされる不動産会社社員、石澤氏も同罪で起訴されました。
起訴状などによると両被告は、今野被告が自身の資産管理会社を通してマンション2棟を購入した際、消費税の還付金が有利に算出されるよう同社に架空の売り上げを計上。
平成21年10月~22年2月、消費税計約2500万円の不正還付を受けたとされます。
今野被告は不正還付の指南を受けた見返りとして、石沢被告に報酬を支払っていたようです。
以上産経ニュースから
「ほけんの窓口 消費税還付」で検索すると、様々出てきます。
かつて大流行した自動販売機の設置ではなく、中古自動車により消費税課税売上を作っての手法と言う事です。
消費税還付の考え方は、簡単に言うとこうです。
例えば、自動車を100万円(消費税5万円※当時5%)で売ったとします。
仕入れに50万円(消費税2.5万円)とした場合、5万円-2.5万円=2.5万円を収める(納税)ことになります。
しかし海外に売った場合は、自動車を100万円(消費税0円)で売ります。
仕入れに50万円(消費税2.5万円)とした場合、0万円-2.5万円=2.5万円を還付されることになります。
これが消費税還付の考え方です。
ところが、大家さんは1000万円以上の課税売上がないと、基本的に免税業者です。
家賃は非課税ですので、そもそも還付が受けられないのです。
以前の自販機スキームでは、物件を購入して非課税売上の家賃収入が上がらないうちに、自動販売機を置いて課税売上で100円でも売上が上がって決算を締めれば、その期は課税売上100%となり、課税業者になり、消費税の還付が受けられました。
そのスキームはH22年から、法改正で出来なくなりました。
この事件では、当時「合法」と思われたことが「違法」として、国税局が刑事告発し、検察が立件・逮捕したのです。
ここから学ぶ事は、形式上合法であっても、実態として、法の趣旨を逸脱し、「節税」すると、国税局は「脱税」にみなし、厳しく追求するという姿勢です
しかも、この指南役とされた石澤氏は、なんと以前に「メガ大家」イベントで登壇していた方。。。
そういえば、「投資家石ちゃん」という、名前で当時は壇上に上がっていました。
その後、その名前も変えておりました。
現在も、賃貸物件での消費税還付のスキームは、新規法人をたててやる方法等がありますし、よく聞かれます。
2018年現在は合法なのですが、先ほど申し上げたように、形式上合法であっても、実態として、法の趣旨を逸脱し、「節税」すると、国税局は「脱税」にみなす姿勢を考えると、国を相手にして、制度の隙間をつくことは、しないほうが良いと思います。
当局では、消費税還付の多い税理士の顧問先を徹底的に調査する方針でもあります。
財務省や国税の人間は、トップクラスの超エリートばかりです。
敵に回すと、プロの税理士でも、太刀打ちできません。
もちろん、きちんとした、課税売上のある法人が、賃貸物件を購入したり、建築したりする場合は、なんの問題もありません。
テナントビルを貸す場合も同様に、テナント料は消費税が掛かるわけですから、当然に消費税の還付を受けることが出来ます。
こう考えると、居住用賃貸物件の消費税還付が、スキームを使わないと出来ないことは、制度上、法律上の大きな問題であり、ものすごく不公平なのです。
だからといって「租税回避行為」が認められるわけではありません。
ドラマ「半澤直樹」で出てくる、片岡愛之助演じる国税局のエリートみたいな人が来たら大変です(笑)
皆様、気をつけましょうね。
後で、知らなかったではすみませんので。
強烈な税務に関するお話でした。